こだわりが強すぎると、大事なことを見失ってしまうことはよくあることです。今回は、こういったお悩み相談です。
(Mさん・25歳)
私は消防士が好きで、消防士と結婚したいと思っています。
きっかけは身内に消防士が3人いて、初めてデートした人が消防士の人だったのですが、そこから消防士という職業を詳しく知ることになり、好きになりました。
消防士と出会うために消防署内でバイトをしたり、救命講習を受けにいったりしました。消防署バイトは短期で、直接消防士と関わることはなく終わりましたし、講習ではOBの人が来ていました。こんなに色々行動しているのに、なぜ知り合いにもなれないのかと、残念に思っています。
よく「なぜ、消防士が好きなのか?彼自身が好きなのか?」と聞かれます。でも私は、消防士である彼が好きで、フリーターの彼なら好きになりません。だからといって、消防士なら誰でもいい訳じゃありませんが、この世の中、安定は大事だと思います。
よく、スポーツ選手の奥さんなどは旦那さんのスポーツに全く興味がない人が奥さんになっています。
それと同じで「出会いたい、付き合いたい、結婚したい」と思えば思うほど、世の中は面白いことにできないんじゃないかと思います。「期待すると、なれない」と母に言われました。
じゃあ、このままなにもしないほうがいいのかと思いますが、結婚願望もあり、子供を早く産みたいので、なにもしないと年だけとっていくんじゃないかと不安です。
もうどうしたらいいのかわかりません。行動しても空回りしてしまい、子供を産むというリミットがあるので焦ります。
■Mさんへの回答
まだ若いから、そういう考え方をしてしまっても仕方がありませんが、例えば、Mさんがある会社の受付嬢だとします。「僕は受付嬢としか付き合いたくない」という男性に口説かれて、嬉しいと思うでしょうか?
基本、「その職業が好きだから」と言って寄って来られても、喜ぶ人はいないかもしれません。自分自身を見てもらっている気がしないからです。
正直言うと、Mさんはまだ自分の価値観を持つまでの段階には至ってないのだと思います。例えば、単に親から「結婚する人は公務員とか安定している人がいいわよ」と言われたとか、身内の消防士さんの価値観を真に受けているといったことはありませんか?
実際、消防士が好きなら、どんなところが好きなのでしょうか?肉体美なのか。正義感のあるところがいいのか。職業が安定している人がいいのか。もし、この3つが当てはまる人であれば、例えば、警察官だって、自衛官いいはずです。筋トレ好きな学校の先生だって、当てはまるかもしれません。
それなのに、なぜそこまで消防士にこだわるのか?そこには、思い込みもあるでしょうね。「こうじゃないとダメだ」と自分に言い聞かせてしまっているというか。
では100歩譲って、仮に、消防士と運よく結婚できたとします。もし、その人が内勤の事務の仕事に異動することになったら、もしくは「転職したい」と言いだしたら、それでも、相手を支えていくことはできるのでしょうか?
もしできないのではれば、それは相手を愛しているわけではありません。そんな、自分の上っ面な部分しかみてくれない人と「結婚したい」と思う人が、現れると思いますか?
もう少し、きちんと物を自分で考えられるようにならないと、いつかつまずきますよ?
職業が同じであれば、みんな同じような人間だ、なんてことはありません。職業で人を判断するのなんて、正直言うと馬鹿げています。
さらにその職業が人気であればあるほど、職業だということだけで寄ってくる人に対して敬遠するのは、当たり前のことです。スポーツ選手にしろ、消防士にしろ、その職業に興味のない人がむしろ結びつくことが多いという傾向に対して、「『出会いたい、付き合いたい、結婚したい』と思えば思うほど、世の中は面白いことにできない」なんて、都合の良いジンクスを勝手に作って納得していること自体、間違っています。それは物事の本質を何も見られていない証拠ですよ?
消防士と出会いたいなら、身内に消防士の人が3人もいるなら、誰か独身の人を紹介してもらってもいいでしょう。結婚相談所や婚活サイトで、消防士の人をピンポイントに探して、会ってみるのもいいでしょう。
でも、今のMさんのままだと、きちんと“中身の伴った消防士”の人とはうまくいかないと思います。
もっと自分の内面と向き合い、さらに人の表面的な部分だけではなく、内面までもきちんと見られる人になりましょうね。
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byコラムニスト・ひかり
コラムニスト・フリー記者。 『100 の恋』(泰文堂)で小説家デビュー。夕刊フジでコラム連載をきっかけにコラムニストに。ブログ「ホンネのOL”婚活”日記」は、20~40代の女性に人気。著作に『愛される人の境界線』(KADOKAWA)、『「大人女子」と「子供おばさん」』(新人物往来社・中経出版)、「恋愛の青い鳥」(TWJ)など。