「カイロの紫のバラ」という作品をご存知ですか?
1985年に公開されたウディ・アレン監督の作品です。
映画のスクリーンの登場人物・トムが、映画を観に来ている女性・セシリア(主人公)に恋をして、そのままスクリーンから出てきちゃうお話です。
英国アカデミー賞とセザール賞最優秀外国映画賞を受賞し、『タイム』の「ALL-TIME 100 best films」にも選ばれている名作です。
主人公のセシリアは、現実の世界では働かない夫がいて、現実逃避のように映画館に通います。
トムがスクリーンから出てきて、2人のロマンスが始まりますが、映画はトムが不在のため、ストーリーが変わってしまい、大騒動。
さらに、今度は、トムを演じた実在の俳優まで街にやってきて、セシリアと出会い、恋に落ちてしまう。
さて、セシリアは、スクリーンのキャラクターの彼と実在する俳優の彼、どっちを選ぶのか。・・・といった感じです。
(ここからは、若干ネタバレもあるのでご注意)
設定が面白いし、最後の終わり方はちょっぴりほろ苦くて、大人の結末です。「さすが、ウディ・アレン!」といった感じ。
主人公も単に魅力ある女性というよりも、すごく人間らしいキャラクター。だからこそ、この結末もどこか納得できる、というか。
この映画における、「映画の世界VS現実世界」は、現代に置き換えると、「スピリチュアルな世界VS現実世界」に近いかもしれません。
お金なんてなくても愛があればいい、それだけで生きていける!と言ってみたいものだけど、私たちが身を置いている現実世界はそこまで甘くはない。
だからと言って、現実世界が世知辛い状況だったら、そのまま耐えて年老いていくのは残酷すぎる。
だからこそ、バランスが大事だったり。
主人公の彼女もすごく悩むんです。どっちの世界で生きていこうか。
ただ、ほろ苦い結末ではありますが、その後の彼女は、今までとはまた違う人生を歩むんじゃないかな?と、思うんですよね。
結局、映画の世界の彼と過ごしたことで、自分を取り戻したんですよね。
だからこそ、今よりもより幸せを目指した人生を歩むようになるはずだと。
それは、私たちの現実世界でも同じ。
現実は厳しいこともある。でも、そのルールにばかり生きていると、自分を見失ってしまうことも。
だからこそ、スピリチュアルな思想も取り入れながら、(=人生というレベルで物事を選択する)現実世界に根付いて生きていくってすごく重要だろうなぁって。
現実逃避は良くないけど、目に見えるものしか見えないというのも、人生を残念なものにするから。
ロマンを持って、現実を生きていきましょ!
byコラムニスト・ひかり