「愛着障害」という心の病気があるのを、ご存知ですか?
これは、子供時代に親(主に母親)との関係がうまくいかず、満たされなかったことで、大人になってからも、様々な面で症状が出てしまう心の病気のようです。
いわゆる毒母に育てられた子供は、なりやすい病です。
(例えば、虐待、育児放棄など)
先日、『愛着障害の克服~「愛着アプローチ」で、人は変われる~』(光文社新書)を読みました。
なぜ、毒母に育てられると、心の病気になってしまうのか?
人にとって愛着が、安心感や健康の土台になっているからだそうです。
(自分は愛される存在なんだ、という自己肯定のベースになる)
ただ、正直言うと、この本を読んだとき、程度の差こそあれ、「あれ?この症状の人、意外と多いかも?」と思いました。
(特に、人との関係をすぐに切り、関係を築けない人が多い現代において)
恋愛において、必要以上に依存したり、束縛する人というのも、やはり子供の頃の親子関係が深く関係していることもあるようです。
例えば、恋人からのメールの返事がすぐに来ないと不安になってしまう人も、どこか愛着障害なところはあるのかもしれません。
夏目漱石、谷崎潤一郎、川端康成、太宰治、三島由紀夫・・・といった作家たちは、深刻な愛着障害を抱えていたようなんです。
つまり、「愛着障害」という病名がついてしまうと、自分とは無関係な心の病気のように思いがちですが、意外と、軽度の愛着障害の人は、たくさんいるような気がします。(“隠れ・愛着障害”というか)
子供を産む女性の年齢が20~30代が多いということは、精神的に大人になり切れていないまま母親になってしまうことも多いでしょうし、それも含め、母親も自分にいっぱいいっぱいだったら、理不尽な思いをしたり、愛情不足な環境に身を置く子供は、意外といるかもしれません。
この本は、
・恋人を必要以上に依存、束縛してしまい、恋愛を壊してしまう傾向がある人、
・人と関係を上手に築けない人、
(愛情よりも、メリットで相手選びをする人も)
・これから子供を産む人
にとっても、 すごく重要なことが書かれていました。
(子供を愛着障害にしないためにも)
「愛着障害」は現代の恋愛おけるキーワードといっても過言ではないくらい。
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重度の愛着障害の場合、どうしたら治るのか?というと、愛着障害の人は、子ども時代に満たされなかった大きな欠落を抱えているので、人に甘えることなど、やりそこなった子どもらしい体験をやり直し、愛着の安定化を目指すことだそうです。
愛着の安定化でベストなのは、原因となった母親との関係の修復でもありますが、それが叶わない場合は、(自分だけの問題ではないですし、親の性格が変わらないのであれば、むしろ関わらない方がいいことも)自分を受け止めてくれる「安定基地」になる存在を作ることだそうです。
家族や恋人がそういった存在になるのがベストですが、難しい場合は才能ある心理カウンセラーがそういった役割を果たしてくれるそうです。
そして、自分が母親との間で築けなかった愛着(絆)をきちんと築き、愛着を取り戻していくことが大事なのだそうです。
ちなみに、愛着障害の病気を治すのは本人そのものよりも、その人の置かれた環境でなってしまうことが多いので、その人と関わる人たち(特に母親)のカウンセリングをすることで、子供の症状が改善することが多いとのことです。
(母親も子供のころの経験から愛着障害であることも多い)
で、この本では、身近な人が愛着障害になってしまったとき、(また、恋人が愛着障害のとき)自分がその人の「安全基地」になるための方法が色々と紹介されていたのですが、読んでいて、「これができる人は、モテるだろうし、いい恋人、いい妻、いい母親になれるなぁ」と思ったんです。
だから、ある意味、究極のモテ本とも言えるかも。
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結局、愛着障害の人は自分の苦しみを分かってほしいし、大切にされたいと願っているんです。(母親にされなかった分)
だから、「安全基地」の人は、きちんと受け止められる人になることが重要なんです。
この本、曰く、
<うまく応えるためには、何を求めているのかを汲み取って、求めているものを与える必要がある。>
逆を言えば、
<困っていることや苦しんでいる話を聞くと、すぐに問題を解決したくなる人は、安全基地になりにくい>
とのこと。(※男性に多いですよね)
答えを見つけることが大事なのではなく、むしろ本人が問題に向き合い、自分で答えを出せるようになることが大事なのだそうです。
そのためには、
・相手の言葉に「合いの手」をきちんと入れる。
・相手の声の調子、表情、仕草に自分を合わせる。
(相手が低いゆっくり話しているなら、自分も合せてみる)
・自分が答えを与えるのではなく、相手が自分で答えを出すように、「どんな」「どう」といった曖昧な質問をしながら、相手が自分なりの答えを見つけられるように手伝う。
などができるといいそうです。
(これも、ある意味、デートの場面でも有効ですよね)
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また、愛着障害の人は、「安全基地」になり得ない人を「安全基地」にしようとすると、症状が悪化してしまうことがあるので、下記のような人をパートナーにした方がいいとのこと。
(1)接していて、怖さや危険な感じがなく、安心できる。
(2)穏やかで、気分や態度がいつも一定している。
(3)目線が対等で、見下したような態度やおもねりすぎる態度をとらない。
(4)優しく親切だが、必要なときには、言いづらいことも言う。
(5)相手の意思や気持ちを尊重し、決めつけや押し付けがない。
こういう人だったら、きっと恋愛でもモテるでしょうし、いい妻、いい母にもなるでしょうね。
だから、「安全基地」になるために限らず、婚活女性も、こういった人を目指したら、幸せになれると思います。
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この本では、愛着障害になってしまった症例もいくつか紹介されていて、決して、虐待やネグレストだけではなく、母親自身はよかれと思っていても、子供に精神的なダメージを与えてしまっているケースなども紹介されていました。
「子供のため」と思って、コントロールしてしまい、精神的なダメージを与えている親も意外といるそうです。
(そういう家庭が多いから、“隠れ・愛着障害”のまま大人になってしまう人は多いかも)
今後、いい恋愛、いい結婚をするためにも読んでおいた方がいいし、(特に「安全基地」になるための秘訣の部分はモテに効果あり?)もしかしたら中には、「あれ?私、愛着障害の傾向があるかも?」と気付く人もいるかもしれません。
(その場合は、どうしたら改善するのかも色々と書かれているので、試してみるといいと思います)
単なる心理学本ではなく、多くの人に当てはまること、知っておいた方がいいことがたくさん書かれている本でした。興味のある方は、読んでみては?
byコラムニスト・ひかり