■「あの人、優しいよね」の言葉にモヤモヤ
アメリカの小説家 レイモンド=チャンドラーの言葉に「強くなくては生きてはいけない、優しくなければ生きる資格がない」というのがあります。
ただ、個人的には、「本当の優しさというのは、精神が強くないと出せないものなのだ」と思うものです。
巷で「あの人って優しいよね」と言われる人が、本当に優しい人であることは、意外と少ないもの。
もちろん、“自分にとって都合のいい人間”を「優しい人」と言う人がいる限り、そういう「偽・優しい人」は存在し続けてしまう。
「偽・優しい人」は、言いたいことを言えないから、保身のために、相手の言うことを聞いたり、相手に嫌われないような気の使い方をしやすい。
でも、それは「相手への愛情や優しさ」からきている優しさではなく、そこにあるのは「保身」や「気弱さ」に過ぎないことも。
むしろ、本当に優しい人は、「相手を甘やかさない」「相手の成長を促す」ことのほうを大事にする。
たとえ嫌われてしまうことがあっても、愛情をもって、相手に苦言を呈さなくてはいけないときは、きちんと言う。
でも、そういう人は、「優しい人」とは思われることは少ない。
だから、私は「あの人、優しいよね」という言葉を聞くたびに、心がモヤモヤすることが多いのです(苦笑)。
一見優しそうな人が、実際は単なる内弁慶で、家では偉そうにしていることも意外とあるし、ちょっと知恵の働く裏表のある人ほど、「優しい人間を演じる」ことも。
「本当の優しさ」を理解している人は少ない。
「本当の優しさ」のある人を見抜き、また自分自身もそんな優しさを持つ人でありたいものですね。
byコラムニスト・ひかり