親との関係がうまくいかなくて悩んでいる人は、意外といます。でも、簡単に縁を切れるような関係ではないからこそ、うまくやっていきたいと誰もが願うもの。
親との関係がうまくいっていない人がするといいことは、なんでしょうか?
■親との関係をよくするためにするといいこと1:適度な距離を保つ
親子だからこそ、距離が近すぎてしまい、「自分の親(子供)だから許されるだろう」と甘えて、容赦なく相手を傷つけるような言葉を投げかけてしまうことはあるもの。
でも、「親しき仲にも礼儀あり」というように、たとえ親子であっても、相手を気遣うことは大事です。多くの人が〝距離の近い相手〟に対して、礼儀を忘れてしまう傾向があるので、もし傷つけ合ってしまう場合は、物理的に距離を空けたほうがいいでしょう。
例えば、20代で実家暮らしのAさんは、自分の理想ばかり押し付ける母親が苦手でした。毎日のように言い争いをしていたので、Aさん自身、「このままでは、お母さんのことを嫌いになってしまうかも」と思ったそうです。
そこで母親が反対する中、思い切って1人暮らしを始め、物理的に距離を空けたのです。はじめは勝手に1人暮らしを始めたAさんに母親は怒っていたようですが、一緒に住まなくなったことで、たまに会うときにはお互いに気を遣えるようになり、関係は改善されたそうです。
子供を〝自分の所有物〟のように思ってしまう親は少なからずいます。だから、子供に自分の理想を押し付けてしまうのでしょう。
もし、そんな親がいる人は、一度、物理的に距離を置き、親に「自分と子供は、別の人間なのだ」ということを認識させる必要があります。
1人暮らしはお金がかかるものですが、これは子供にとっても大事なこと。なぜなら、〝子供に対して支配的な親〟と一緒に住んでいると、親の言うことに従う癖がついてしまい、自分で物事を考えなくなってしまうこともあるからです。
たとえ仲のいい親子であっても、子供にとって〝親の影響〟は大きいため、親の価値観をそのまま引き継いでしまうことも少なくありません。だから、親が「いい」と思うものを「いい」と思い、「悪い」と思うものを「悪い」と思ってしまうところもあるのです。でも、親にとっていいものでも、子供にとっていいものだとは限りません。
だから、たとえ親子関係がうまくいっていても、一度は親元を離れ、〝親の影響を受けづらい環境〟に身を置き、自分の価値観や考えをきちんと持てるようになることは、〝自分らしく生きる〟ために大切なことなのです。
親のためにも、自分自身のためにも、一時的でもいいから「物理的に距離を空けること」はオススメです。
■親との関係をよくするためにするといいこと2:〝普通の親〟を求めない
親子ともに、相手を責めるときは、大概〝普通の親〟や〝普通の子供〟を求めてしまっています。だから、他人の親や子供と比べて、劣っていることに対して、文句を言ってしまうのです。
例えば、Bさんの母親は個性的なので、Bさんが子供のときは「こんな普通じゃないお母さんは、恥ずかしい」と思っていました。
でも、大人になってみると、そんな母親だからこそ、今では自分も個性を出して、自由に生きられているのだと、感謝しているそうです。
親であろうと、苦手なことはあります。だから、他の親ができるようなことができなくても、仕方がないこともありますし、また家庭環境によっても、できること、できないことは随分、変わってくるものです。
隣の芝生は青く見えがちですが、どの家庭でも少なからず問題はあるもの。だから、他の家庭が幸せそうに見えても、その家族が抱えている苦悩に気付いていないだけのこともあるのです。
どんな状況にも必ずと言ってもいいくらいに「メリット」と「デメリット」があるように、どんな家庭に生まれたとしても、その家庭ならではの「いいこと」と「悪いこと」があります。だからこそ、自分はその「いいこと」をきちんと生かして大人になりながら、早く親の影響を受けないくらいに自立してしまったほうがいいのです。
大人になっても、「親の(教育の)せいで、こんな自分になってしまった!」と不満を抱いている人はいますが、大人になったら、あとは幸せになるのもならないのも、〝自分次第〟。どんな家庭環境であったにしろ、自分が〝幸せになる力〟を持てばいいだけのことなのです。
だから、大人になっても、まだ親のせいにするのは責任転嫁。「親は親で、幸せでいてくれれば、それでいい」と思えるようになったとき、本当の意味で〝親から自立した大人〟になれたのだと言えるでしょう。
■親との関係をよくするためにするといいこと3:「大切に思っている」ことを示す
生まれたときから傍にいる親は、子供にとって〝いるのが当たり前の存在〟だからこそ、感謝しないでぞんざいな態度をとってしまう人も少なくありません。
でも、親子関係に限らず、多くの人間関係で壊れる原因が、どちらか一方が「自分のことを大切にしてくれていない」と不満を抱くことなのです。
例えば、これは私自身の話になりますが、私が母の住む実家に遊びに行くときには、ケーキを買って行くのですが、そのときは2人分だけでなく、〝翌日の母のおやつ分〟も含め、3つ買って行くようにしています。そんな心遣いをするだけでも、母親は、「自分の翌日のおやつのことまで考えてくれているんだ。私は大切にされているんだ」と喜んでくれるのです。
「大切に思っている」という意志表示は、些細なことで構いません。離れて暮らしているのであれば、週に1回は用事がなくてもLINEをして体調を気にかけてあげるだけでも、親としてはうれしいもの。この〝気に掛ける〟ということが、親にとっては、「自分は子供に大切にされているんだ」という安心感につながるのです。
多くの親は、子供が自立して、自分から離れていってしまうことを寂しく感じてしまうもの。それなのに、子供がまるで一人で大きくなったかのように、親のことを気に掛けなくなると、親は空しくなってしまうものなのでしょう。
それが、「私は大切にされていない」という寂しさにつながり、子供に対しては、「せっかく育ててあげたのに!」と怒りをぶつけてくるようになることもあるのです。本来は、子供の自立は喜ばしいものですが、「寂しい」という思いが、親の心を混乱させてしまうこともあるものなのですよね。
だから、些細なことでいいから、親に「自分は子供に大切にされているんだ」と思ってもらうことは、大事なことなのです。
■親との関係をよくするためにするといいこと4:手紙で思いを伝える
親との関係が絶望的に壊れてしまったときは、無理して会わないほうがいいこともあります。お互いを究極にまで傷つけ合ってしまう親子関係もあるので、離れていたほうがお互いに平和でいられることもあるのです。
例えば、30代のCさんは、母親と価値観が合わず、絶縁状態に近いほど関係が悪化してしまいました。でも、子供が親を嫌いになることはなかなかできないので、心は深く傷ついていました。
あるときCさんは、母親に手紙を書いたそうです。手紙には、「一緒にいると傷つけ合ってしまうから、しばらくは会わないほうがいいと思っていること。そして、離れていても、お母さんが幸せでいることを願っている」ことを綴ったそうです。
そうしたら、その手紙を読んだ母親のほうが反省し、Cさんに歩み寄るようになり、今では適度な距離を保ちながら、良好な親子関係を続けているそうです。
Cさんが送った手紙で、母親の心が変わったのには、2つポイントがあると考えられます。それは、「手紙では、愛情を抱いていることをきちんと伝えたこと」、そして「メールではなく、直筆の手紙を書いたこと」です。
もし手紙で恨みつらみの思いを綴っていたら、関係はもっと悪化していたかもしれません。
また手紙は電子メールとは違う〝重み〟があるので、相手に〝本気の思い〟が伝わったのでしょう。
結局、親のほうも「子供とは、縁が切れるはずがない」と甘えてしまっているところがあるので、あまりにひどいときには、子供が〝本気の思い〟を見せることは大切なのでしょうね。
ここまで、「親との関係をよくするためにすべきこと」を4つ紹介しました。親が生きているうちにしか、親孝行も、そして親子喧嘩もできないもの。「親しき仲にも礼儀あり」の精神を持って、後悔のない関係を築きたいものですね。
【子供おばさんから大人女性になるヒント】
■子供おばさん…「どうせ、縁が切れない関係だから」と親に甘え、関係を悪化させてしまう。
■大人女性…親子であっても、「親しき仲にも礼儀あり」の精神を持って、親に「大切に思っている」ことを伝わるような言動をして、関係を良好にすることを心がける。
byコラムニスト・ひかり
※本文は、今は閉鎖されてしまった、WEB媒体「スーツウーマン」(小学館)で連載していた『非モテ女子の君へ』の中の恋愛コラムを厳選し、加筆&修正しました。