■反面教師的なイタイキャラクター
現在放送中の、高橋一生さん、斎藤工さん、滝藤賢一さんが扮する、あえて結婚しない“AK男子”たちが恋愛、結婚にと奮闘するドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)は、世の婚活男性、女性たちに反面教師的に色々なことを学ばせてくれるドラマなんです。
このドラマでの“AK男子”の特徴は?というと・・・
メガバンク勤務のエースの石橋 太郎(坂本一生)、審美歯科クリニック院長・三好玲也(斎藤工)、大手弁護士事務所のボス弁の岩倉和彦(滝藤賢一)は、3人とも競争社会の中で勝ち抜いてきたエリート。
だからこそ、「イケている俺たちを女たちが求めてくるものだ」と言わんばかりに、女性を上から目線で査定しているんです。ハッキリ言ってしまえば、“いい気になってしまっている残念男”です。
例えば、彼らの問題発言には、こんなものがあります。
・「結婚は女に自由を与え、男から自由を奪う」
結婚で自由を失うのは、男も女も同じ。妻が家で家事や育児をしながら家族を支えていることにも感謝せず、またお金を生まない労働に価値を感じず、「俺が稼いできたお金を妻は使い、さらに束縛をしてくる」などと、自分の立場でしか物を見られない人が言いやすい発言なんですよね。
・「男に結婚適齢期はない」
「不妊は、女性だけに問題がある」と勘違いしている男性がこんなことを発言することが多いけど、WHOによると、不妊の原因は男性にも48%あると言われているもの。つまり、精子だって老化するし、男は何歳であっても健康な子供が生まれる、なんてことはないんですよね。
さらに、ドラマでも描いているように、歳を重ねるからこそ出てくる問題……ED、親の介護、病気などで、今まで通りの生活が送れなくなってくることもあるもの。
もし仮に彼らの言う“男の結婚適齢期”が、「結婚したいと言ってくれる人がいる時期」だと定義するのだとしても、そんな“問題を抱えたオジサン”と結婚したいと言ってくれる女性がいつまでいるかは、時間の問題と言えるかもしれません。
そんな問題発言を平然と言えるような彼らだからこそ、玲也の妹・かずな(仲里依紗)には、「いつか俺にふさわしい“プリンセス”が現れるって夢見ている、ドリームアイランドにいる人たち」だと言われる。
ただ、これは男性に限らず、ある意味、“シンデレラ願望”の強い婚活女性にも言えることなので、女性も気を付けるべきことかもしれないんですよね…。
■現実にもいる“AK男子”の傾向
“AK男子”は、このドラマだけの話ではなく、現実にもいるもの。「結婚できない男」ではなく、「あえて結婚しない男=需要はあるけど、結婚しない男」の場合は、やはりエリート男性が多い。そういう出世する男たちというのは、向上心が高く、もっと!もっと!と高みを目指すため、恋愛においても、“高嶺の花”を求めやすい。その女性と付き合うことによって、自分の価値をより高めたいんですよね。
さらに、自分を高く見積もっているからこそ、客観的に見れば“お似合いのちょうどいい女性”が現れても、どこか物足りなさを感じてしまうことも少なくない。それでは、恋愛はうまくいかないでしょうね。
自己を客観視できていない“AK男子”だからこそ、イタイ状況を作ってしまうことも多々あるもの。例えば、彼らが求める“高嶺の花の女性”は、美しさはもちろんのこと、若さも重要なポイント。だからこそ、人によっては、自分よりもかなり年下の女性を狙おうとすることもある。
でも、そういった若くて美しい彼女らにとって“中年のAK男子”は、恋愛対象に思えないオジサンであることは多々あり、安全なオジサンだと思っていた男性から急に口説かれてしまうと、「うわ~、そんな目で私を見ていたの?気持ち悪い!」と思ってしまうことも…(苦笑)。
結果、本人は“AK男子”だと思い込んでいても、傍から見たら、単に、“年相応の精神的な成熟をしていない、イタイ中年オジサン”(※所謂、「子供おじさん」)に見えてしまうこともあるので、要注意なんですよね。
■“AK男子”が幸せになるには?
そんな“AK男子”が幸せになるには、どうしたらいいのか?
ここでは、ドラマの内容は関係なく、一般的に見られる“AK男子”がどうしたら幸せになれるのか?について考えてみたいと思います。
実は、“AK男子”には「心の底から結婚したくない人」と「実は結婚したいけどできない人」の2種類のケースがあり、それによって方法は変わってきます。
・「心の底から結婚したくない“AK男子”」の場合
本心から結婚したくないのであれば、別に結婚はしなくてはいけないものではないので、しなければいいだけのこと。
ただし、そういう人は、結婚願望のある婚活女性を巻き込まずに、独身を謳歌することが重要。無責任な恋愛をして、婚活女性の大事な時間をロスさせてしまうと恨まれることもあるので、注意が必要です。
さらに、今は良くても、そのうち周りの仲間たちが結婚してしまったり、高齢になるとつるんでいた友人が他界してしまったりすることもあるので、若い世代の“AK男子”の友人を作っておくこと、さらに一人でも楽しめる趣味は持つことをオススメします。
・「実は結婚したいけどできない“AK男子” 」の場合
本心では「結婚したい」のに、うまくいかない現実を抱え、「敢えて結婚しないだけなんだ」とどこか強がり、さらに自分の価値を上げる “高嶺の花の女性”ばかり求めているような、自分勝手でプライドの高い“AK男子”の場合は、生まれ変わるくらいの気持ちで改心した方がいいかもしれません。
結局、心の奥底にある結婚願望を認められない時点で、こういうタイプは、自分自身にも嘘をつき、“本当の自分”をきちんと受け止められていないタイプが多いもの。
“本当の自分”をただただ受け止めるようになるには、自分を客観視して、いい意味でも「自分は“この程度の人間”なんだ」と身の程を知ることも大切なこと。
それができるようになったとき初めて、自分に言い寄ってくる人に対して、「こんな自分をいいと言ってくれる人がいるのは、ありがたい」と感謝の気持ちも芽生えてくるものですしね。
そして、手に入らない獲物ばかりを追い求めるのではなく、そういった寄ってきてくれる女性の中から「この人となら、一緒にいて心地いい」と思える人と深く関わっていくことで、もっと人生において大切なことを見つけられることもあると思うんですよね。
もし、「人と深く関係を築くことで培われる愛情や絆こそが、人生において価値のあることだ」ということに気付くことができたら、そんな自分をより魅力的に見せるための“アクセサリー的な役割の女性”とする上っ面な恋愛よりも、気心知れたパートナーと共に生きていくことの方が、幸せになれることを理解できるはず。
“AK男子”は、モテて寄ってきてくれる女性がいるのであれば、その中にいる女性とじっくり関係を築いていくことを目指してみるべし!結局のところ、その女性こそが、唯一無二の“自分にとってのプリンセス”であることも多いから。
モーリス・メーテルリンクの童話「青い鳥」同様、プリンセス(=青い鳥)は、意外と身近にいることも多いものなのなんですよね。
実は、これは、“AK男子”に限らず、“シンデレラ願望の強い婚活女性”にも当てはまること。
目に前にいる縁のある人とじっくり交流をはかり、信頼と絆を深めることで、自然と好意を抱いてくることもあるので、目の前にいる青い鳥を見逃していたら、もったいないんですよね。
“あなたの青い鳥”は、目の前にいるかもしれないから!
byコラムニスト・ひかり
■放送情報
土曜ナイトドラマ『東京独身男子』
制作:テレビ朝日