2007年の内田有紀さん主演の映画「クワイエットルームにようこそ」を観ました。
10年前の作品ですが、今も色あせない魅力があるし、内田さんがとにかく綺麗。「こんなに演技がうまかったんだ!」と思うくらいに思い切った演技をしています。
かなり見ごたえのある作品でした。シュールで面白くて、ちょっと切なくて、最後までハラハラします。
監督、脚本は松尾スズキさん。キャストは、大竹しのぶさん、蒼井優さん、宮藤官九郎さん、妻夫木聡さん、その他、今もご活躍の方々が結構、出ていて豪華です。
<28歳のフリーライター明日香(内田有紀)は、ある日、目が覚めると精神病院に。さまざまな問題を抱えた患者たちと出会う中、彼女は自身を見つめ直してゆく・・・>
(ネタバレになってしまうので、これから映画を観る方はご注意!)
はじめ映画を観ていたときは、明日香はとても正常に見えるし、なにかの手違いでこの病院に入れられてしまったんだと思っていたんです。
でも、段々いろいろなことを紐といていくうちに、明日香の心が壊れていく経緯が見えてくるし、この病院に入ったのは必然だったのだと感じさせるんです。
そして、明日香自身も、今までは「自分はどこも悪くない」と思っていたけど、あるとき、本当の自分に気づきます。
そこから、自分のことをきちんと見つめることで、結果的に、自分自身の心の病気を治していくんです。
現実から逃げて、「自分は悪くない」と思っているうちは自分のいる世界が歪んで見えるけど、「あれ?自分も変わった方がいいことがあるのでは」と気付くことで、歪みを解消することはよくあること。
それはこの映画の精神病院の患者に限らず、私たちも。
さらに、根本(自分の心、思い)を変えない限り、同じことを繰り返してしまうことも、この映画の患者に限らず、言えることなのです。
例えば、恋愛でも、何度も同じようなダメ男にひっかかってしまう女性、不倫ばかり繰り返してしまう女性とか、「相手が悪い」ばかり言っていないで、自分の思いを見つめないと、(=どうしてそんな相手ばかり選んでしまうのか?)不毛な関係ばかり持ってしまうことも。
どんなことでも、自分の根本(心)が大事だし、それが言動の地盤になるから、そこを見ないで、誤魔化していたって、幸せにはなれないんですよね。
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この映画の中の病院には、色々なキャラの人たちがいて、動物園的なユニークさもあり、重いテーマでありながら、コミカルなテイストで楽しめるところもあります。
この絶妙なバランスが、スゴイ。
この、ありそうでなさそうな精神病院の世界を覗いてみたい人は、ぜひ、観てみては?
コラムニスト・ひかり