■恋を掴めない原因とは?
現代は恋愛や結婚がしにくくなっていると言われています。実は、恋愛ができない人には、“それなりの原因”があります。
今回はその3つの原因を紹介します。
基本、恋愛できない人が恋人選びをするときには、この3つの思いのどれかを抱いていることが多いのです。
「損したくない」
「傷つきたくない」
「自分にとって都合の良い人がいい」
これこそが、恋を掴めない原因なのです。
◇
■原因1:「損したくない」と思っていない?
そこには、「資本主義」も関係しているようです。資本主義の価値観が根強くなるほど、人は恋ができなくなっているのです。
資本主義の価値観は、物と物(お金)の“交換”です。だからこそ、恋人選びのときも、「自分のレベルか、それ以上のレベルの人=自分(との交換)に見合う人」とお付き合いしたいと思っている人が多いのです。
ルックス、社会的地位、年収、年齢など、自分が付き合ったら「得する人」をパートナーにしようとしがちです。さらに、気になる相手がいても自分の望む条件に合わないと、恋愛対象から外してしまうのです。
『フロム「愛するということ」』(著:鈴木 晶・NHK出版 刊)では、このようなことが書かれています。
「愛することは簡単だが、愛するにふさわしい相手、あるいは愛されるにふさわしい相手を見つけることはむずかしい―人びとはそんなふうに考えている。
<中略>
自分にとって、損か得かで相手を選ぶことが果たして本当の愛なのか?」
恋愛ができないのは、愛するにふさわしい相手(=得する相手)がいないからではなく、損得でしか人を見られず、さらに物理的に得だと思える相手にしか“興味を持てない自分”に原因があるかもしれません。
つまり、そういう人は、心ではなく、“頭”で恋愛しようとしているんですよね。
◇
■見返りがなかったら、損した気分?
さらに、自分が相手に愛情を注いで、見返りがなかったら“損した気分”になる人がいます。
意中の相手が振り向かなかったら、「あんなに尽くして、損した」「今まで費やした時間(&お金)を返して!」と思う人だっているでしょう。
でも、本当の愛は無償です。見返りを求める愛情は、愛ではありません。
それらの思い、行動は、「愛する」という行為からほど遠いものです。単なる自己愛と言ってもいいでしょう。
つまり、アプローチをしているときにあったものは、愛でも何でもないのです。
損得を考えているうちは、本当の恋愛なんてできませんよ?
◇
■原因2:「傷つきたくない」と怖がっていない?
好きな人ができても、フラれることが怖くて、口説いているんだかいないんだか、分からないようなアプローチをする人が多いもの。
そんな行為をされた相手が、心を動かされる可能性は極めて低いです。「この人、自分を守っているなぁ」と残念に思うからです。
口説いている方に逃げ道があるってことは、口説かれている方にも逃げ道があるということ。気付かないフリをすればいいだけです。
そんなハッキリしない関係をズルズル続けて、最終的にはどちらかの根気負けで恋が終わるなんてことはよくある話。もし勇気を持って告白していたら、付き合えたかもしれないのに、もったいないですよね。
現代は、仕事でも“過程”ではなく“結果”ばかりを求められることが多いので、失敗に対する恐れが大きい人は多く、その思いを恋愛にも抱いている人は多いのです。
フラれたって、いいじゃないですか!減るもんではないし(笑)。
むしろ、それによってより心がタフになって、魅力が増しますよ?
「フラれたらカッコ悪い」と思っている人もいます。でも、一体誰がカッコ悪いと思うのでしょうか?
あなたをフッた相手ですか?
いえいえ、相手はあなたの愛情が本物であるほど(※ストーカーのように見返りを求めるような自己愛を押し付けない限り)、その思い自体は嬉しいものです。好かれるというのは、「自分の魅力を認めてもらった」ってことでもあるので、まんざらでもないと思っているものです。
では、周りの友達が「カッコ悪い」と思うものですか?
もし真剣に人を好きになってフラれた人を笑うようであれば、その方が問題あります。心ある人であれば、そんな勇気ある行動をむしろカッコイイと思うものですよ?
つまり、結局、「カッコ悪い」と思っているのは、「自分だけ」なのです。
では、どうしてカッコ悪いと思うのか?
それは、自分に理想ばかりを押し付けてしまい、ありのままの自分を愛し受け止める力がないからです。
失恋に限らず、失敗したときに大事なことは、「失恋(失敗)した自分をOKとしてあげる」こと。それだけの“自尊心”が必要なのです。
失恋(失敗)した自分も「良し」と思えるくらいに、自分を受け止められる自尊心を持って、きちんと好きな人にアプローチできるようになりたいものですね。
◇
■原因3:「自分にとって都合の良い人」を求めていませんか?
多くの人が恋人になる人に対して、こういったことを求めています。
「自分を受け止めてほしい」
「自分のサポートしてほしい」
「自分の足りないところを埋めてほしい※」
(※ルックスに自信のない人はルックスの良い人を選んだり、お金に余裕のない人はお金のある人を求めたり…)
つまり、自分にとって“都合の良い相手”を求めているのです。
もちろん、わざわざ都合の悪い相手を選ぶ必要はありません。ただ、都合の良いことばかりを求める人は、相手が自分にとって都合が悪いことがあると、さっさと縁を切ってしまうことが多いのです。
恋愛では、相手の“自分にとって都合の良い部分”だけと接しているわけにはいきません。
自分にとって都合の悪いところ、苦手だと思う相手の欠点もきちんと受け止め、お互いに折り合いをつけ、成長していく必要があるのです。
それこそが、「関係を築く」ということなのです。
◇
■「関係を築く」ことの大切さ
実は、人と「関係を築く」というのは言葉で言うほど、たやすいことではありません。
2011年に放送されたテレビドラマ「マルモのおきて」(フジテレビ系)では、主人公の護が双子の子供と家族として過ごしていくための「おきて」があり、その中の1つにこういったものがありました。
「好きでも嫌いでも家族」
人と本当に関係を築くというのは、そんな「腹のくくり方」も時として必要となります。
それは、家族や恋人だけではなく、友達付き合いでも言えること。
気に入らないことがある度に友達との縁を切っていては、いつまでたっても本当の意味でお互いを認め、許し、成長し合える友情関係は築けません。
もちろんお互いを傷つけ合うくらいであれば離れた方が良い関係もありますが、きちんと関係を築きたいと思う相手には、自分にとって都合が悪い部分があってもそれも含めて、許し、うまく付き合っていく方法を探すことが重要なのです。
都合の良い相手ばかり求めている人は、デートを重ねると、相手の都合の悪いところも見えてしまい、「やっぱりこの人じゃないな」と思ってしまうことが多いもの。
そんな人が求めるような完璧な相手は、どこを探していも見つかりませんよ?
◇
■3つの原因から言えることは?
恋愛できない人が恋人選びをするときに、抱いている3つの思い―「損したくない」「傷つきたくない」「自分にとって都合の良い人がいい」―を紹介してきました。
結局、これらは「愛する」という根本的なことと“真逆の思い”です。だから、恋を掴めないのです。
何度も言いますが、本当の愛は無償です。
「損したくない」「傷つきたくない」「自分にとって都合の良い人がいい」というのは、全て「自分のため」であり、自己愛です。
そんな思いを抱いて相手と接したところで、相手も魅力的に思ってくれないことも多いでしょう。
さらに言うと、恋が掴めない人は、「愛する」ことよりも「愛される」ことばかりに注力しがちです。
『フロム「愛するということ」』(著:鈴木 晶・NHK出版 刊)では、このようなことが書かれています。
「愛とは愛を生む力であり、愛せないということは愛を生むことができないということである。これは、『愛されることばかり要求して自分から愛そうとしない人は、本当の愛を体験することはできない』という意味ととらえていいでしょう」
大切なのは、“愛を生む力”なのです。
恋愛は自分のハートでするものなので、自分の内側から愛が湧き出ないと、恋愛でもなんでもないんですよね。
◇
■恋愛なんて、面倒くさい?
ここまで読んで、「恋愛なんて、面倒くさい!」と思った人もいるでしょう。でも、その面倒くさい恋愛だからこそ、学べることもあるのです。
前述の本では、このようなことも書かれています。
「恋愛をすると精神の深いところまで刺激され、自分の中の物語の組換えが起こります。自分が作り上げた物語の中を生きているだけでは、そこに成長はありま せんが、他者が絡むことによって物語はどんどん変化し、今まで自分だけでは分からなかったことが新しく見えてくるのです」
愛するからこそ、人は成長し、世界が広がるのです。
本当の愛を持てるようになることは、全ての人に当てはまる“人生のテーマ”です。
きちんと人を“愛せる自分”になって、幸せな恋愛を掴みたいものですね。