■「分からない」で片付ける大人たち
2022年7月期のドラマ「家庭教師のトラコ」(日テレ系、水曜、夜10時~)。
謎の家庭教師・トラコが、【年齢】も【抱えている問題】もバラバラの3人の母親と3人の子供を救う個別指導式ヒューマンドラマでした。
第1話ダイジェスト
トラコは「子供を教育する」というよりは、子供を通して、その親を教育していきます。
子供は素直だから、いい先生に出会えば、いい成長をしやすい。でも、大人はそんなに単純にはいかない。
だからこそ、“自分の子供”を通して、親が改善することを、トラコは目指し、その結果、日本をよりよくしようとしているところもありました。
第一話には、こんなトラコのセリフがありました。
<私には嫌いな言葉が3つある。
1つ目が「分かんない」だ。そうやって甘えたら人が助けてくれると思って「分かんない」と問題から目を背けている間に、法律変えて自由にものが言えなくなる国がどんどん増えているんだよ、今は。あんたはどうやって幸せになれるのか知りたくて、色々失敗したけど、がんばってここまできたんだろう?
だったら泣いていないで耳を澄ませよ、目を見開けよ。
ヒントがすぐそばにあるかもしれないだろう。頭を使って考えないと。
あなたの名前は知恵なんだから>
もし、このセリフを聞いても、何について言っているのか、分からない人は、ここでいう「『分かんない』で問題から背を向けている人」かもしれません……。
正直言ってしまうと、自由にものが言えなくなるどころか、今後、戦争が起こる可能性だってある事態です。
それを理解した上で選挙に行った人(逆に、投票を放棄した人)は、どれだけいるのか……。
(陰謀論の話ではなく、現実的に今、起こっていることです)
このドラマの脚本は、『女王の教室』『家政婦のミタ』など色々な作品を手掛けている人気脚本家の遊川和彦さんが手掛けています。
いつもドラマを通して、現代の問題について、鋭く追究されています。
私は以前から遊川さんの作品のファンで、以前、夕刊フジでインタビュー取材をしたこともあります。
遊川さんの座右の銘は「わかっちゃいるけど、やめられない」だそうです。
「自分でもダメだと分かっているのにやめられないのが人間。それが本質。だからその人の弱さを認めて、どうしようかと考えることのほうが大切。そのためにもまずは自分の弱さを認めることが重要なんです。自己の弱さを知ることで、人にも優しくなれるから」
自分の弱さも認め、受け止め、「分からない」から、考える大人が増えると、世界は変わっていくのだと思うものです。
byコラムニスト・ひかり